超高層ビルを支える国内最大の拡底バケットを用いた拡底杭工法を開発
従来使用している掘削機、プラント、資機材で施工可能な「Earth-LEX™工法」
鹿島建設株式会社(東京都港区、社長:天野裕正 以下、鹿島)と東洋テクノ株式会社(東京都渋谷区、社長:渡邉芳春 以下、東洋テクノ)は、このたび、300m超の超高層ビルを支える大口径の場所打ちコンクリート拡底杭工法「Earth-LEX※(アースレックス)工法」を共同開発しました。「Earth-LEX工法」は、今回開発した国内最大の拡底バケットを用いることにより、従来より広く使われている直径が4,800mm以下の拡底杭を築造する工法と同じ施工方法で、直径6,100mmの拡底杭を築造できます。なおかつ、これまでの拡底杭工法と比較し先端支持力で1.6倍、最大100MNクラスの高支持力を実現する工法です。
今後、本工法の提案・採用により、超高層ビルの建設需要に応えていきます。
※Earthはアースドリル工法、LEXはLarge Expansion(大きな拡底)の略
【開発の背景】
近年は、建物の高層化・大スパン化により柱にかかる荷重が増大し、従来から広く使われている直径が4,800mm以下の拡底杭では必要な支持力を確保できず、設計が困難となるケースが増えています。この場合、異なる高支持力杭工法を採用することになりますが、新たな資機材が必要になるなどコストアップや工期延長につながるといった課題がありました。そこで鹿島と東洋テクノは、従来の拡底杭工法と同じ施工方法で築造でき、かつ、より高い支持力を持つ拡底杭工法の開発を進めてきました。
【「Earth-LEX工法」の概要】
「Earth-LEX工法」は、アースドリル式拡底杭工法で一般的に使用する掘削機、プラント、資機材での施工が可能で、汎用性が高く、施工性に優れた工法です。具体的には、杭の軸部を通常の場所打ちコンクリート杭工法で使用する掘削機によって支持層の所定深度まで掘削し、拡底部を今回開発した国内最大の専用拡底バケット(KTバケット)と、立上がり部の専用拡幅バケット(TSTバケット)で拡大掘削する工法で、最大直径6,100mmの拡底杭を築造することができます。
拡底部の掘削は、拡底部全体(傾斜部+立上がり部高さ500mm)をKTバケットで掘削します。拡底部の立上がり部高さが500mmを超える場合は、KTバケットまたはTSTバケットにより立上がり部を掘削します。
また、解析により拡底部の健全性が確保できることを検証するとともに、施工実験により掘削時における土砂の崩壊リスクがないことを確認しました。
なお本工法は、2022年8月に、一般財団法人 日本建築センターの評定(BCJ評定-FD0619-01)を取得しました。
■Earth-LEX工法の適用範囲
バケット形式 | 軸部径 | 拡底径 | 最大コンクリート強度 | 傾斜角 |
---|---|---|---|---|
KT2661型 | 2,600~4,000mm | 2,600~6,100mm | 80N/mm² | 21°以下 |
■立ち上がり部高さが1,000~1,500mmの場合の施工手順
■従来の拡底杭工法とEarth-LEX工法の比較
従来の拡底杭工法 | Earth-LEX工法 | |
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断面図 | ||
最小軸部径 | 2,200mm | 2,600mm |
最大拡底径 | 4,800mm | 6,100mm |
拡底部最大傾斜角 | 12° | 21° |
最大コンクリート強度 | 60N/mm² | 80N/mm² |
立ち上がり部高さ | 500mm | 500~1,500mm |
【今後の展望】
今後、鹿島と東洋テクノは、本工法の採用を進め実績を重ねるとともに、施工性のさらなる向上やコスト低減に向けた検討を進めていきます。